届かなかった暑中お見舞い

中学生の時でした。
夏休みの英語の宿題で、英語の先生の自宅あてに英作文を自分で考え暑中見舞いを送る、という課題がありました。
絵が得意だった私は、早速英作文そっちのけでどのような絵ハガキにするのかに夢中となりました。
年賀状と違って夏の絵ハガキの絵を描くのははじめてのため、試行錯誤していました。

家族旅行にでも行けば、行った先の景色等が題材になったのでしょうが、
引っ越してきたばかりのウチにはそのような余裕はなく、私はじいっと図鑑をめくっていました。
当時NHKで世界への遺産、という番組が放送されており、その写真集を持っていました。
歴史の百科事典の付録だったようですが、今の時代から見ても豪華本で、世界の遺跡や文化を写真と記事でドラマチックに紹介している本でした。

その中の、砂漠の真ん中にある美しい湖のエキゾチックな絵を、水彩絵の具で葉書全体に描くと、
幼稚でありきたりな英文を、格好つけて筆記体で書きこみ、ポストに投函しました。
 
新学期、英語の授業が始まると、何人かの暑中見舞いの話題になり、私のが届いたかどうかがとても楽しみでしたが、
次の授業もその次の授業も、ついに届かなかったのでした。
今思えば宛名が英文で不明瞭なうえ、差出人の住所を書いていなかったからではないかと思うのですが、
今でもその写真を見ると、当時届かなかった事が残念でもあり、恥ずかしかったことを思い出します。