小説『遥かなる空への想い』
- 第12章 満天の星空とオーロラ -
今は深夜。
先ほど悪夢のような空を見た俺は、
雷のような謎の白い光の直撃を受け、一瞬意識を失っていた。
そして意識を取り戻し、目を開けると、そこにはきれいな夜空が広がっていた。
あれからほとんど時間は経っていなかったようだ。
「それにしても・・・、・・・・・!!」
言葉にならなかった。
もちろん、記憶を失ったわけではない。
これまでの俺の野外人生のなかで、一度たちとも見たことがない光景が、
転送されたこの地の上空に展開されていたのだった。
澄みきった空気・・ そして静寂・・
何人たりとも侵すことができないその神秘の空間で、
それを神秘たらしめるものが、そこにはあった。
オーロラ・・・
それは、暗がりの天空に大きな光のカーテンを広げ、
その存在をアピールするかのように、光の幕を絶えずなびかせていた。
空気中の分子が星の磁力か何かと反応してできるともいわれるが、
そんな理屈を抜きにしても、掛け値なしに美しい。
緑色に、青色、白色・・
果ては赤色やピンク色まで、刻一刻と素早く色を変えていくオーロラ。
そしてオーロラのまわりを、満天の星たちがまたたき、光の花で飾っている。
オーロラと星々の連携はじつに素晴らしく、あまりの美しさに思わず言葉を失ってしまった。
ただ、今俺が立っているところは寒い・・。
こうしてオーロラが見えるあたり、きっと極寒の地に転送されてきたのだろう。
その経緯といい、オーロラといい、神のいたずらか、それとも・・・
自然は、かくも優しく美しいものなのだろうか。
当然、厳しい時や、畏怖すら抱かせるほど怖い時もある。
だがそれらを含め、自然は全てを受け入れてくれる。
過去を信じ、未来に向けて旅立つ・・・
あきらめてしまったら、その時点ですべてが終わってしまうのだ・・。
光の天体ショーは、やがて夜中のうちに終わりを迎えた。
はかなくも美しい・・ 夜空を彩るオーロラは、俺たち下界に住む者に
いったい何を伝えたかったのだろうか?
その答えを知る者は、きっと誰もいないし、未来永劫きっと誰も現れることはないだろう。
「いよいよ最後になりそうだな。
それにしてもオーロラに満天の星空・・、よかった・・・!」
俺が今立っているところが山間のためか、空は少しずつ雲ってきた。
ただ、悪天の兆しはなさそうである。霧雲、といったほうが近いだろう。
近く準備をととのえ、腰を上げた俺は、
まだ夜が明けぬ空の遥か高みを目指して、一直線に舞い上がっていった。
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