小説『遥かなる空への想い』
- 最終章 天界の光に抱かれて −夢の終わり− -
ある日の早朝のこと・・・
下界ではいまだ朝霧の晴れないその時間に、
厚く下に沈んだ雲海の遥か上空を飛ぶ俺がそこにいた。
標高の差あるためか風はやや冷たいものの、穏やかだった。
眼下に広がる灰褐色の雲海は、ただ静かに身動きもせず、眠っていた。
「雲海か・・・
いったいどこまで続くのだろうか・・
できればこの上に乗って寝てみたいくらいなんだけどな。無理だな・・・。」
夜明け前の雲海・・
それは、一面に真綿を敷き詰めたようにやわらかく、
ふかふかした印象を与えるものだった。
その真綿を突き破るかのように、あるいはそれをせき止めるダムのように、
いくつかの連山が雲海の上に顔をのぞかせていた。
「夜明けだ・・・」
やがて、地平線の彼方から太陽が顔を出した。
空は、オレンジから黄色へ、そして紺色へとしだいに染め上げられていく・・
その色のグラデーションもさることながら、
それ以上に眼下の雲海は、より大きな変化を見せた。
雲海は、朝日に照らされて一面が金色に染まり、
まるでそれ自体が生き物であるかのように波打ちはじめた。
紫立つ空に、黄金色の雲が作る大海原・・・
あらゆる大自然の光に包まれ、俺は、ただその神聖な天空を飛んでいた。
その光景の素晴らしさは、もはや言葉では言い表すことはできない・・・。
空は、どこから始まり、どこへ続いているのだろうか・・・
そして、遥かなる空の向こうには、いったい何があるのだろうか・・・
・・・・・
「!! もうこんな時間か、会社へ行かなきゃ!
それにしても俺としたことが、妙にリアルな夢を見たな・・・。」
気がつくと、俺は目を覚ましていた。現実に朝が来ていたのだった。
新しい日常の1日の始まりであった。
完
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